2018年8月8日水曜日

夏の日に  腎臓- みっ みっ 水をくれ!肝臓- FNH はピルに注目【№ 77】


炎暑と言うんだそうです。今年の夏は連日の熱気が特に都会では足元から身体を包みます。そうは言いながらも、身体は慣れてきて、今日は少しマシですねと29度の朝におはようございますと言葉を交わしていたりしています。駐車場からクリニックまでの3分間の道中、朝7時前もう仕事を開始している避雷針基部作り工場ジュニアオーナーとの挨拶は爽やかな気持ちにさせてくれます。ところが夕方、カラカラに乾いたプランターへの水遣りは無防備だと最低10発の蚊刺に遭遇すること必須。下腿と前腕をかきむしりながら、アルカリが中和してくれると石鹸を塗ったくってのシャワー、そうこうする内に痒みといらいら感が落ち着き始めて、のど越し爽快な氷冷ビールにありつけるという毎日を過ごしています。


先日健診二次精査のクライアント受診がありました。パニックデーターが出たので至急連絡し呼び出しに応じてくださったのです。 
7月下旬 尿のデーターです。
 尿蛋白(+)尿潜血反応(-)
 尿沈渣異常:白血球 3~5/毎  赤血球 1~2/数  扁平 3~5/毎
 尿細管上皮(+)  卵円形脂肪体(+)  硝子円柱(+)  顆粒円柱(+)
 上皮円柱(+)  脂肪円柱(+)
 血清クレアチン 0.79  eGFR  76.4
10日後の再検査
 尿蛋白(-)
 尿沈渣正常:白血球 1~2/数  赤血球 1~2/数  扁平 1/10 

再検査受診時の問診で、尿の色を聞いてみたら濃いウーロン茶色でしたとのこと。ロジスティック関連の仕事明けの健診タイミング。前の晩から律儀にも水分摂取を控えての受診採尿だったようです。既往歴にはネフローゼ、糖尿病等腎疾患なく、男性にしては小球性のHb 11.4g/dl で軽度貧血傾向が血色素尿症既往の可能性を否定できませんが、尿潜血反応(-)から、往時は著明な濃縮尿をきたす状態での健診受診だったと思われます。このままの状態が続けば急性腎不全に移行したかもしれない。何事もなく水分摂取で回復していたようです。特に夏の健診で前の晩からの水断ちは、他の季節よりも濃縮尿になっている可能性があり、判定には注意を要するでしょう。
さらに健診に限らず濃い色の尿が出たときは、特にこれから先は毎年猛暑が続くでしょうから要注意、適切な水分摂取の指標に自分の尿の色を確かめてみましょう。

そうそう、最近ひょんなことからFNH focal nodular hyperplasia 限局性結節性過形成事例を経験しました。肝臓に発生する病変です。良性肝細胞性結節には種々の種類があり、特に肝細胞腺腫との鑑別が重要となります。肝細胞腺腫の中にはFNHとともに女性優位、経口避妊薬(ピル)服用という臨床所見が共通にあるようです。中心瘢痕、異常血管、異常門脈域等がFNHには見られるそうで、良性腫瘍性変化としての肝細胞腺腫と血管形成異常に起因する過形成病変と経過が異なる病変の見極めは重要です。ピル服用歴のある女性そして飲酒歴如何にかかわらず脂肪肝の腹部超音波検査はこれら病変を念頭において注意深く行っていかなければならないでしょう。


7月21日は日帰りバス旅行で岡山県西粟倉郡若杉天然林に行って来ました。ヒグラシが鳴き、清流の流れに心が洗われました。途中スイートコーンを一人1本の制限で手折り、とっても暑い日中にひまわり畑を散策という過酷とも言えるツアー内容でしたが、久々の開放された空間に汗を拭き吹き、夏の日の晴れ~ を満喫しました。
 
 それぞれに暑気払いを企画して皆様 お元気で! 

医公庵未翁記

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