2013年4月3日水曜日

醍醐の花見へ そして桜守公園 大川の櫻はダックツアーで 【No,43】

 時は慶長3(1598)年3月15日(4月20日)、女子会ならぬ1300名もの女房を中心にした大行列が伏見城を後に醍醐寺三宝院に向かいました。警護を除き男子禁制は女好きの秀吉ならではの豪奢なお花見の趣向。ほぼ十年(1587年)前には北野天満宮の大茶会を催し、懐の深さを示した彼ですが、今回は少々お年を召されたためか、56歳で淀君(茶々)との間に生まれたかわいい秀頼のためもあってか、周りが眉をひそめるような内容になったのかもしれません。主要な御輿は5台。第一御輿は正室(北政所)寧々様、第2御輿は第一側室(西の丸殿)浅井長政の娘:茶々様で、続いて第二側室(松の丸殿)は京極高吉の娘、織田信長の娘第三側室:三の丸殿は4台目の御輿、5番目には第四側室の加賀殿:前田利家の娘となり、シンガリは今回特別参加の前田利家の正室まつが務めました。このお花見でお疲れになられたのかどうか、御輿の順番に側室の冷戦が助長されたのでしょうか、五か月後に秀吉は死を迎えます。一方、醍醐の櫻は代を繋ぎ、今も豪華絢爛の春を迎えているようです。

 2013年の櫻開花は異常な早さでした。一部を除きちょうど3月末から4月の頭にかけてが関西の桜の見頃となりました。紅葉と花見はいつも時期を失する私ですが、今年は休みの日が上手く見頃に重なって鮮やかな桜を楽しむことができました。まずは醍醐の枝垂れ櫻。枝には支えがおかれているとは言え、三宝館の太閤枝垂れ、そして霊宝館横にある白山大手鞠の1本は桜がこのように枝を張り、花芽をつけるのかと驚異の光景でした。京都府内最大と称するソメイヨシノは咲き加減未だとは言え、樹冠を除く下部には見事な花が咲いており、1週間後の満開を予期しながら御抹茶を頂きました。まだ小さな蕾である藤棚が三宝院憲深林苑のお抹茶席に在ったのですが、バイトの若い女の子は全く知らない様子でした。来週は大忙しのことでしょう。少し体が冷えて、急いだのは京都市内西大路七条にある割烹料理店【いはら田】さん。お腹を減らすために京都地下鉄西大路御池からまっ直ぐに南下と歩き始めたのですが、何せ京都の土地の距離感が無く、30分以上の速足歩行を強いられました。カミサンはご機嫌斜めでついつい後方に遠ざかってゆきます。予約15分遅れで到着。幸い我々が第一の予約客だったようで他客の視線を浴びずに違和感なく席に着くことができました。解説は抜きにして、御店のHPを紹介しておきましょう。

 http://www.iharada.jp/about/index.html

 極太の香川県ホワイトアスパラ、あっさりでもしっかりとした上品な味の海鱒、地中海(スペイン)の本マグロのトロと淡路のアナゴ、旬のイイダコと富山湾のホタルイカ、くちこやマヨネーズを隠し味に、食材の質は天下一品。10数年にわたるご主人の地道な努力がこの食材の礎でしょう。このような店主居原田さんのお人柄を感じつつカウンターでのお食事は至福の時間。お酒は京都産にまとめて、月桂冠「伝匠」と太閤さんにあやかる佐々木酒造「聚楽第」を選んでみました。まだ出ないのと思わせつつ、最後のお料理に私の好きな赤貝とトリガイを出すところは心憎い演出で、京都の櫻はしっとりと心に沁み入りました。

 

 

 さらに今年の花見は2回続くのです。3月末の土曜日には御影北にある先祖墓の掃除を兼ねて芝桜の苗を8鉢持参し、途中香雪美術館に寄り小倉遊亀展で童女その他静物画を見た後、お庭の源平櫻の小木を見ながら野点傘の下で御抹茶を頂きました。傍の弓弦羽神社は幼稚園時代郡家に住んでいた父の遊び場で、彼は当時鼻たれへそ出しのやんちゃな次男坊であったようです。御墓でそんな父にお参りそして、帰途阪急岡本駅の西北にある小公園【桜守公園】に寄りました。ソメイヨシノはもとより、ササベ桜も満開で、ここの櫻は花芽も濃く、岡本梅林よりも華やかな、ただし短い期間限定の公園は穴場と言えるでしょう。水上勉の小説【桜守】の主人公笹部新太郎が晩年の18年間を過ごした岡本の邸宅跡が公園になっていてこの時期大勢の人でにぎわいます。(詳細な写真紹介のあるHPを見つけました)

  http://kyouno.com/turezure/20100406_kobe-sakuramori-park.htm

 翌日曜日は私御贔屓の落語家林家染二さんのファンクラブの集いで初めて大阪のダックツアーに乗りました。新阪急ホテル北口から出発して御堂筋を南下し本町から桜ノ宮公園に至り、そこから大川へザンブリとスプラッシュイン。ちょうど帝国ホテルの向かい側大川左岸からの水上クルーズの開始です。中之島公園の舳先まで、バスと遊覧船のマリアージュと言えばカッコイイのですが、重量制限からガラス窓はなく、エアコンディショナーとして夏は暖房、冬は冷房のよく効いた車内、気候が良ければさわやかな風と、食い倒れ大阪の街の匂いを存分感じることができる構造に敢えてなっています。花びらが舞いこみ、川端を散策する人や橋上からの挨拶に手を振り、スター気分がいやがうえにも沸いて来る心憎い仕掛けに、3月末日の風は冷たく頬をなで熱燗がほしくなる90分でした。そうそう、大川の櫻は心なしかさびしく、それはこの日の予報が雨とのことで出かけるのを手控えたためなのでしょう。造幣局の通り抜けが期待されます。ポケットにアメちゃんを偲ばせる豹柄の大阪のおばちゃんをネタにした自称藤原紀香さんの名ガイドがツアーに花を添えました。

 http://www.japan-ducktour.com/osaka/index.html

 さて、№40の末尾に書きました、「嗅いで見る動く車の三の外、顔耳のどに迷う副舌」何を覚えるフレーズでしょうかの答えです。これは12の脳神経、すなわち脳から出てきて頭蓋底を通り抜け末消の筋肉運動や知覚神経として働いている、嗅神経・視神経・動眼神経・滑車神経・三叉神経・外転神経・顔面神経・内耳神経・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経の面々でした。今後機会を見てそれぞれの働きを取り上げてゆきましょう。

 西日本の今年の花粉症はひどいですね。Pm2.5や黄砂そして、H5N7型トリインフルエンザの中国における新規発生等、東方に位置する日本人にとっては呼吸器受難の春スタートです。

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