2011年11月24日木曜日

身体の不思議 男と女 そしてレンコンさん 【No,24】

 約1ヶ月が過ぎる間に秋が深まりました。22日には本町から御堂筋を少し北に歩きましたが、匂い立つ銀杏が落ちて黄色く色づき始めた葉はまだ確りと枝に残っています。仕事帰りのサラリーマンが急ぐ夕暮れ時でしたが神農祭りが道修町でちょうど執り行われていました。屋台の明かりが妙に暖かい色に眺められ、でも風邪気味の小生は足早に地下鉄の淀屋橋に急ぎました。そう感じさせる冬の気配が直ぐそこまで来ているようです。
 前回お約束した女性前立腺の謎にお答えしなければなりません。私のオリジナルではありませんので、教え子の一人としてお許しを頂き出典を記載して、今日は解剖学の不思議2題をお伝えします。
出典:大阪大学名誉教授 橋本一成先生のお書きになられた解剖学教室の講義余録から— 解剖学の抜け穴 2009年4月1日 発行 株式会社フリープレス 初版

 【話題1 女性にもある前立腺】
 解剖の教授がお書きになっている本なので、記述は正確であり、学生時代が懐かしく思い出されます。まずは男性の尿道についてのおさらいです。50〜60歳になると多くの男性は排尿障害に悩まされます。特に最近間質性膀胱炎による過活動膀胱症状が一般に認知されるようになり、切迫尿意と排尿後の尿失禁を私自身も経験し(今は軽快しています)、それを基に同年代のクライアントに話を向けると結構多くの人が経験していることに気付きました。男性の尿道は膀胱から内尿道口を出るとすぐに前立腺が関所のごとくに陣取っています。括約筋が弛緩し膀胱が収縮する絶妙の自律神経コントロールが排尿の基本なのですが、関所が立ちはだかると出るものが出なくなってしまいます。ジョロジョロと勢い無く、長時間の壁とのにらめっこを余儀なくされます。加齢の情けなさを感じる瞬間です。女性は良いな〜。過活動膀胱はあるにしてもそして腹圧性尿失禁が多いのはお互い様としても、加齢による尿失禁の様相は少し男女で異なるようです。
 そりゃ先生、男の尿道は長いから! うん? 分かりきった理由のように思っているかもしれませんが、肝腎の男性尿道の長い部分には排尿をコントロールする能力は殆どありません。さて、先生の御本の内容に移ります。今日はlecherousに参りましょうか。 少なからず興奮を覚える(ただし男性だけだと思いますが)女性の下着のお湿り(discharge)はなんとPSA陽性反応を示すのです。膀胱から尿の出口(外尿道口)までが尿道ですが男性は15〜20cm、女性は3〜4cmです.男性の尿道は三つの部位から構成されており、膀胱出口の内尿道口から約2cmは前立腺の中を貫通していて前立腺部と呼ばれます。その先約1cmは尿生殖隔膜すなわち骨盤腔を外に出る隔膜部で、残りが陰茎内の海面体部となります。女性の場合は尿生殖隔膜を境に2部構成となっており骨盤部(男性の前立腺部に相当)と骨盤外部に分けて呼ばれています。じゃ、女性の尿道の骨盤部を今一度よく調べてみようと学者(スロヴァキアのザヴィアチッチさん)は思いました。学者でない皆様は直感でハハ〜ン何かあるぞ、ここにはきっとと思われたことでしょう。はい、ありました。女性のこの部分を取り出してみると単純な尿道としてはあまりにも太い。そして発生3ヶ月の男性胎児の前立腺の芽(原器)と似た構造が解剖学的に認められ、しかも酸性フォスファターゼ等の酵素活性が証明されるとともに免疫組織学的に前立腺特異抗原(PSA)が証明されたのです。PSAは今や健診でも男性の前立腺腫瘍マーカーとして注目をあびている検査であることは多くの方がご存知でしょう。
 余談として恋に練達の諸兄は尿道のこの部位が膣前壁に相当する位置がいわゆるGスポットであることには前文の途中から既にもどかしく、したり顔でお気づきのことと存じます。この部位の刺激に全ての女性が反応するとは限りませんが、放尿ではない分泌液の排出はクジラもどきの表現ではなくもっと真面目に取り上げられるべきだし、男性は更に理解と真面目な努力そして神の創ったセックスパートナーへの敬意を忘れてはならないでしょう。お互いに歓喜への畏敬を持つべきです。

 【話題2 カミサンの熊本では芥子レンコンが有名】
 涙を堪えて鼻を抑えながらもついつい手が出る芥子レンコンは熊本の病弱な殿様細川忠利候の滋養強壮の食べ物です。さて皆様! レンコンの穴はいくつでしょうか?
 歓喜の後に卵子を求めて元気一杯の精子が群がって上流指向の移動を始めますが、これは鞭毛を激しく回転させての涙ぐましいエネルギー消耗合戦なのです。通常たった1つの精子が卵子に受け入れられます。あ〜!我が闘争。エネルギーの供給源はもちろん外側に並ぶミトコンドリアですが鞭毛の中心には真核細胞の繊毛、鞭毛に共通の9+2構造、すなわち真ん中に位置する1対の中心小管と9本のダブレット微小管が配置されています。我々が痰を咯出できるのも、卵子が卵管内を移動するのも、消化に関しての絨毛にもこの構造が基本型として存在しています。

 

 

精子の構造出典:  http://blog.goo.ne.jp/iskw1112/e/a50c09af815a2f7b0a4adacba15f8004 

 

 我が家にあったレンコンの写真を供覧します。穴の数を数えてみてください。ちょっといびつではありますが、中央に小さい1対の穴があり周囲を9個の穴が取り巻いています。橋本先生の本によりますと、この9個の穴の配置に特徴があり隣り合っている2個の小さめの穴(写真では下方)を目印にすると対側に中ぐらいの穴が一個(上方に)あり大きい穴が左右に分かれてそれぞれに3個ずつ計9個。穴の大きさはレンコンによって異なるけれどペアの2個の対面に1個と左右鏡面に3個の配列はどれも同じだそうです。ひょっとするとレンコンは夜ゴニョゴニョと泥の中を動いているのかもしれませんね。
動物、植物と案外に自然界には共通のフォームがあるのが興味深いと思います。

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