2011年7月28日木曜日

夏だ! 祭りだ! 天神祭 船渡御は上流指向、下流指向? 打~ちましょ も一度せ~ 祝うて3度 【No,18】 

 7月25日の月曜日天神祭に行って来ました。乗った船は御鳳輦講の供奉船です。天満宮の御鳳輦神祠の維持のために運営される講の出す御船です。地元に実家がある知人の看護師さんに頼んでチケットを手に入れました。私もカミサンも天神祭船渡御参加は2回目。私は30年前にこの看護師さん仲間と、そしてカミサンは追手門学院大学奉拝船で数年前の体験のリピーターです。昨年は陸渡御(からうすを特徴とする催太鼓を傍で見てその勇壮な振り回しと流れる汗に感動しました)と花火を楽しみましたが、今年は水上からの天神祭です。日本三大祭りはご存じのとおり、京都祇園祭(7月中旬に無事執り行われました)、東京神田祭り、そして大阪天神祭ですが、神田祭りは東日本大震災の直後に今年中止を決定したのだそうです。江戸っ子の気質を表している決定と思いませんか。関西に比べると生々しい震災を体感し、加えて気風の良さ、宵越しの金を持たない土地柄の篤さを示したのだと思います。でも、正直ちょっぴり残念です。今日は船で配られた資料と、船上で聴いた講員の方の説明を基に天神さんのお話を進めてみましょう。

 天神祭は大阪天満宮が鎮座した2年後の天暦5年(951年)6月1日より始まったとされています。祭事は大川より神鉾を流して、流れ着いた場所に祭場(いわゆる神様の御旅所)設けて、その祭場で禊払いを行うというものだったそうです。これが鉾流神事の元となり、その祭場に船で神様を奉迎したことが船渡御の起源となっていると伝えられています。かつては百間堀川の東岸鷺島にある雑喉場(魚市場)に御旅所があり、その後本田、千代崎松島新地等西区内を転々としているようです。西クリニックも遠からずの位置となります。このように、船渡御はまずは鉾を流すすなわち下流に向かう神事であったようですが、大阪地盤沈下の結果橋の下を徐々に潜れなくなり、昭和28年以降天満宮から上流に向かう今の船渡御に変わったのだそうです。

 地車囃子は大好きです。神戸本山村にも保久良神社のだんじりが4基(中野、小路、田辺、北畑)あり、5月の連休頃触発されるのはやはり鉦の音でしょうか。高音で空気を突き抜けるリズムの早い打音が耳に入るとなぜかそわそわしてしまいます。17:30に天神橋北詰の大川端から乗船、待つこと1時間半、大阪じめの練習は、我々夫婦にはお手の物、しかし数回練習しても最後のチョチョンのチョンが合わずリズム感を体得できない方が少なからず居られるようです。その間に陸渡御の地車や最終神輿である、玉神輿、鳳神輿が河北側の道を走り抜け、列外船のどんどこ船が櫓さばきも鮮やかに大川筋を漕ぎ下りまた漕ぎ上がって行きます。飲み放題のチュウハイ、ビール、ハイボールはトイレ事情からやや抑え気味にの小生ですが、カミサンのピッチは相変わらず速い。とてもユニークな幌被せのトイレはどの供部奉船も共通のようです。天満天神繁昌亭の落語帰りに行きつけの主税寿司さんから、お祭りのお祝いだからと差し入れていただいた巻きずしと握り寿司を船上で頬張り(いつもながらに旨いな~)、さっそくトイレを試してもう赤ら顔のカミサンともども少々ご機嫌となった ところで御鳳輦が奉安船に鎮座ましましていよいよ19時離岸となりました。

 

 

 次々と橋の下をくぐり、淀川三十石船の船着き場である八軒屋(熊野古道の出発点でもあります)、天満橋を過ぎたあたりで待ちに待った花火の打ち上げが始まりました。これこれ!この腹にズドーンと来る低周波の波動が堪りません。街の中で上げる花火なので玉は小型だそうですが、打ち上げの音、はじける音、しゅわしゅわと弧を描き模様を造る音などがホテルの室内からみる花火とは比べものにならない圧倒感を持って体中に響き亘ります。“動”の他船に比べて“静”でなければならぬ御鳳輦船及びその供奉船ではありますが、花火が上がり、酒がまわればもう乗船者の祭り気分は最高潮。飛翔橋あたりから下って来る奉拝船の御挨拶を受ければお返しは御祝い事のマナーの一つとして、講員の方の掛け声とともに上手になったお大阪じめを連発しました。
 この大阪じめのリズムはテレビで先日見た博多祇園山笠の手締めと同じ2・2・3(二拍子二拍子、4拍子の三拍目休み)の打ち方です。でも大阪とはテンポが違う。博多は威勢がよくとても早い。皆様も一度手を打ってみてください。“タタン・タタン・タタンがタン”のリズムは電車の音に似て快適です。三三七拍子はポピュラーだけれど、う~ん、合いにくい大阪のリズムとテンポは何なんだろう。大阪じめにはなじみが薄くいまひとつ盛り上がらない感覚で、確かに最後の三つ目の間の取り方がついタンタンタンと休拍なく連続三つ打ちたくなるのでしょうか。

ではここで大阪〆「打~ちましょ タンタン。もひとつせ~ タンタン。祝うて三度 タタン・タン」
http://www.youtube.com/watch?v=UTe6ijP0cCw
案外慣れてくると妙に人懐こく、愛すべき手作業に思えてきます。これは祭の雰囲気だけでもなく、酒のためでもない、大阪地方の人の息遣いなのでしょうか。毛馬の閘門あたりまで遡上して川面に映るかがり火をUターンし、帰途、あ~残念だ。最後の打ちあげ花火が、川の曲がりで音だけしか伝わらず、今年の天神さんは終了となりました。いつもよりは打ち上げ花火の数は5000発から3000発へ減少して、奉拝船もこころなし数と派手さが無かったようです。頑張らねば日本。

 さてメタボ健診が平成20年に始まって今年で4年目の正念場を迎えています。高血圧症、脂質異常症、糖代謝異常等各疾患のアップストリーム(上流)に位置するメタボリックシンドロームを早期に健診で見つけ健康指導のもと行動変容にて下流にある、生活習慣に依拠するがん、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病等を予防していこうというのが特定健診の目標です。
 一方内田樹の「下流志向」、林真理子の「下流の宴」等の著書が注目を浴びる時代です。資本主義であれ社会主義であれ、人の社会に現存するヒエラルキーに伴う、上流・下流の意識はぬぐい去れるものではありません。経済並びに人の存在様式は机上の理論だけでは御しがたく、バブルでは倫理学、不景気には心理学で対応しなければならないというのが私の持論です。イルージョンでしかない平等思想を義務と権利の上流志向としてではなく、権利請求のみの下流発想を教育の原点においてしまえば、多くの人が結局最下流に辿り着く滞留社会現象は必然。あがきの無い上流志向を醸成する社会の芽を着実に作り上げていかなければ、日本の頑張りは空転してしまう事になるでしょう。ふとそんな思いを巡らせた天神さんでした。

http://www.tenjinmatsuri.com/other/index0
http://web1.kcn.jp/tkia/td/nenpyou.html

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