2023年7月14日金曜日

№89 補遺

 トルストイ 人はなんで生きるのか


ある日、神様は天使に、一人の死にそうな女の魂を天国に連れて来るよう命じます。
しかし、その女は生まれたばかりの双子の女の子を抱えており、しかも夫は死んでいました。
今自分が死ぬと誰もこの子たちを育てる者がいないので、天使に魂を取らないでと嘆願します。天使はかわいそうになって魂をとらずに天国に帰ってしまいます。
すると、神様は怒り、その天使に、次の3つの言葉の意味が分かるまで天に帰ってくるなと言います。
「人の中には何があるか。」
「人には何が与えられていないか。」
「人は何によって生きるか。」

女の魂は神様の所に行ってしまい、天使は翼が取れて地面に落ちてしまいました。
天使は冬の寒い中、裸で凍え、飢え、死ぬ寸前でした。そこに、貧しい靴屋がそばを通りかかります。通り過ぎようとしましたが、かわいそうになり、靴屋はこの男にコートを着せて、自分の家に連れ帰りました。靴屋の妻は、食うや食わずの生活の中、夫が見ず知らずの男を連れてきて、初めは怒っていましたがやがて気を取り直して、男をもてなします。天使は、この夫妻に神様が宿っているのを見て取り、最初の言葉の意味がわかります。

「人の中に愛がある」

天使はそれから靴屋の家に住み込んで働いていました。1年経ったある日、地主の男が来て、1年たってもゆがまず、破れない長靴を依頼しに来ました。しかし、その男の背後には仲間の天使がいて、今晩にも魂が召されることが天使にわかりましたが、人にはそのことがわからないのです。そして、天使は2つめの言葉の意味がわかりました。

「人には自分には何が必要なのか知る力が与えられていない」


6年目に双子の女の子が一人の女とともにやった来ました。その女の子たちは6年前に死んだ、あの女の子供たちだったのです。近所の女が、その女の子を引き取り育てていたのです。そして、その女が他人の子供を見ながら胸いっぱいになって、涙をこぼしたとき、天使はその女の中に生きた神を見つけて、最後の言葉の意味を理解しました。

「人はだれでも自分自身のことを思いわずらうことによってではなく、愛によって生きる。」


「死んだ母親は自分の子供たちにはなにが必要なのかを知る力が与えられていなかった。金持ちは長靴がもう必要ないことを知ることができなかった。人間にされた自分が生き残ることができたのは自分で自分のことを考えたからでなく、通りすがりの人とその妻に愛があったからだ。みなしごが生き残ったのは、その子たちのことを考えたからでなく、他人の女の心に愛があって、女の子たちをあわれんだからだ。どんな人でも、生きているのは、自分で自分のことを考えるからでなく、人々の中に愛があるからなのだ。神は人間がはなればなれ
で生きることを望んでおられない。だから、一人一人の人間が自分のためにはなにが必要なのかを、神は人間に教えてくださらなかった。神が望んでおられるのは、人間が一緒に生きることだ。人間が生きているのは、自分のことに心を配っているからだというのは、ただ人間がそう思い込んでいるだけに過ぎない。人間はただ愛によってのみ生きるのだ。愛の中にいるものは、神の中におり、神がその中にいる。なぜなら、神は愛に他ならないからだ。」
天使はそういいながら天にのぼっていきました。



スザンヌ・オサリバン著書;
脳神経内科医が世界各地で出会った奇妙な心因性疾患の背後を見据え、共通の発生要因の思いを馳せた著書です。機能性神経障害をどう理解し受け入れるか。世界は一様ではなく、西洋医学は万能ではない。身体表現の複雑性は脳内シナプスの思わぬ連携で予想外の、そして案外に共通の症状(病的でないものも含めて)を発現する。
「眠りつづける少女たち」第6章 信用の問題 HPVワクチンにまつわる世界で発生した“副反応”がまとめられています。身体表現性障碍、解離性発作等はそれまでの社会的側面(生い立ち;家族、地域、友人、教育、気候風土等の身に浸み込んだ総合的な個人的脳内情報)のドラマチックな一人ドラマの上演と言えるのではないでしょうか。


予防接種ストレス関連反応(ISRR);
ストレス反応として観察される多様な症状・徴候スペクトラムに関連する包括的概念として、2019年、WHOにおけるワクチンの安全性に関する諮問委員会(GACVS)により提唱されました。
この反応は、新生児期から、成人まであらゆる年代で接種されるすべてのワクチンによって生じ得ることが知られています。特に10歳代のお子さん(特に女の子)は予防接種に不安をもちやすく、この反応が起こりやすいことが知られています。また、ISRRはワクチン接種直前の不安によっても起こることがある点が、他の副反応と大きく異なります。

図1:ISRRの症状とスペクトラム

日本産婦人科医会編集 研修ノート(No 106 思春期のケア)
Biopsychosocial model

ストレスに対する個人の反応は、生物学的因子、心理的因子および社会的因子が複合的に絡み合って生じた結果であり、これらを多元的にとらえる枠組みをBiopsychosocial modelといいます(図2)。
図2:予防接種によるストレスに関連した一連の反応

岡部 信彦. 産婦人科の実際. 2021; 70: 281-284




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