2019年8月1日木曜日

私のイエローカード そして リィリーちゃん −動物の感情− 【No.81】


 今年は20日も遅く関西は梅雨入りし日数にすれば短い梅雨で済みましたが、東から北日本は日照時間が短く植物の生育にはかなりの影響が出ているようです。例年より少し遅くに太平洋高気圧が張り出してきて梅雨が明け、土が乾くようになってきました。蚊に刺されながらの水遣りシーズンの到来です。蚊といえば、世界で最も多くの人を殺傷している生命体。
https://www.huffingtonpost.jp/2017/11/11/don_a_23273992/ に面白いデータが記載されています。驚く事に蚊が第1位、第2位が人であることが悲しいですね。

蚊の忌避剤を塗るとさすが刺されなくなるのですが、後でシャワーを浴びねばならず、ついついそのまま庭に飛び出して、十数発のホロセ(兵庫県の方言です)をぼりぼり掻きながら夕方帰宅後水やりの毎日です。実家に転居して10年経ち、庭木が茂ってきているので余計に蚊にとっては居心地が良くなっているのでしょう。猫の額ほどの土面にモミジ、枝垂れ桜、梅、バラ、オリーブ、木槿、トネリコ、山法師などを植えているのです。そこで今年は6月ごろから雨水マスにぼうふら羽化不能薬を撒くようにしてみました。ちょっとまし、になった気がします。
 蚊といえば、手元に1973年発行3枚のイエローカードが残っています。イエローカード? いえいえ悪いことをしたから注意を受ける警告カードではなく検疫(予防接種実施済み)安全性を保障するカードのことです。コレラと痘瘡(smallpox)に加えて黄熱病(yellow fever):様式六の二:神戸検疫所発行の3枚です。この年19731023日発行の公用旅券(official passport)があって、有効国(valid for)の記載がありそれらの国は、IndiaIranSaudi ArabiaKuwait
Ethiopia and Afganistanとなっており、追記としてBahrainQatar and United Arab Emiratesが書いてあります。出国同年1112日、帰国1224日で46日間の海外初めて経験です。現在でも黄熱病は検疫の重要な感染症に指定している国が多いようですが、時代とともに感染症は変遷し、コンゴやウガンダではエボラ出血熱がまた再流行してきており、いつも言うように人の無知、ずぼら(手抜き)、悪意・善意に関わらずの人の意図(行動様式)で大量に人の生命を侵害し、感染症は人類の大いなる脅威に恐らくいつまでも変わりはないでしょう。ここでも悲しいのがやはり人の介在のあり方でしょう。意図の存在する人に対して生き物として人の殺傷第1位の蚊にはおそらく悪意はないものと思われますから。

さて、一体何の目的の海外公用旅券なの? 実はこれは昭和481110日外務大臣大平正芳氏の「中近東地域諸国在外邦人の保健衛生に関する用務を委嘱する」の命を受けての各国歴訪・発展途上国で活躍する在外邦人の健康相談のミッションでした。羽田から香港、タイバンコック経由でインドボンベイが最初のフライトです。ダグラスDC461便12E席。同行していただいた先生はいずれも阪大病院第一外科のK先生(一年先輩)と二年先輩の同門第三内科のI先生で、K先生は私立芦屋病院で研修医時代すでに存じ上げているので、気心の知れた中で人見知りする小生としてはすんなりと引き受けられたミッションでした。46年前です。およそ半世紀。着いたインドボンベイ空港からキングスホテルまでは大使館の車で移動しましたが、夜でもあり、嫌ではない固有の匂いと土色の風景に人と牛が混在する町が印象的でした。明日はエチオピアに向けいよいよミッションのスタートです。


私の家に7歳5か月になるリィリーちゃんというメスのポメラニアンがいます。生まれてからこの方1〜2回生理か?という程度で、オムツがいるよと言う友達ほどのお印は1回も無く、時々乳首の周りにこびり付く乳汁分泌が認められる状態です。高プロラクチン血症による無月経症かなと診断しています。でもかわいくてね、厳しく甘やかしています!! チーズが大好き、長女の婿がチーズ嫌いなので(笑)、ついついリィリーにチーズを与え過ぎています。その為だけではないでしょうが、血液検査をすると腎機能(クレアチニン)が高めに出ます。某動物病院で精査というので押さえつけられて腹部超音波を撮って以来、元気が無くなっていました。PTSD!そりゃそうでしょう、仰向けに寝かされて動物にとっては敗北・屈辱のポジションでの検査。ポメラニアンは下半身の関節に欠点があり、亜脱臼が起こりやすいといわれていて、一時ジャンプや歩行に問題があり跛行さえみられたのですが10日ほど前から急速に散歩のスピードそしてジャンプが回復し、全ての行動力が闊達になってきています。多少の言葉を理解し、人の顔色を伺い、考えて行動している様子がありありと見て取れます。彼女を見ているとメンタルにアップウダウンが明らかにあるようです。人が考えている以上に、全ての動物に感情(メンタリシティ)があると考えられます。そう思うことが、命への畏敬の念を持つということではないでしょうか。動物行動学という学問があって、日経サイエンス2019年8月号『シャチの悲嘆』死体を悼む動物たちPart2では、ロバ、ペッカリー、猿などの死を悼む事例報告が掲載されています。
人はもっと謙虚に、地球上に生を受けた生命体の一員としての自覚をもって、圧倒的多数の集合体の圧力を控えて行かなければ、地球は悲惨な結末を迎える惑星に成り下がるのではないでしょうか。

夏です! 熱中症に気をつけて、健やかに命の尊さを噛みしめてみましょう。

                          医公庵未翁


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