2012年8月7日火曜日

未病システム学会近畿地方会開かれる -盛夏の思う事ー 【No,34】

 盛夏過ぎ行きます。梅雨期には結構ゲリラ豪雨に悩まされ、全国で少なからず被害が出ましたが、近畿中部は現在晴天続きで、土地はからからになっています。吊植木鉢の草花や根の張りが悪い低木は一日でも水遣りを欠かすと、葉がだらりと時には樹木の先の葉が枯れてしまいます。緑のツナギ作業衣を着て蚊よけをしながら、汗ずくずくで水遣りを続けている毎日です。知らぬうちに日は短くなって来て、水遣りをしていると日のよく当たる場所が移動してきているのがよくわかります。また、勤務を終えて帰宅後の時間がせわしなく感じるようになりました。休みの日には5穴のミストシャワーをリビングの窓側に付けて、せめてもの涼しげな雰囲気で自己満足しています。そうすると水の匂いを嗅ぎつけるのでしょうか、時折シオカラまれにヤンマが飛来してきます。もう随分前から赤トンボが駐車場でホバリングするようになりました。今年の初夏は野鳥がほとんど来ず、渡にも異変が起こっているのでしょうか。季節が移ろいゆく風情ある寂しさもこれは生活の質の貧しさにつながるのではないかとさえ思う昨今です。

 

 

 先週8月4日土曜日には第5回日本未病システム学会近畿地方会が、神戸市長田区にある神戸常磐盤大学保健科学部講義室で開催されました。今回は第11回日本未病システム学会臨床検査部会そして第9回臨床栄養部会の各セミナーとの合同開催となっています。合同開催にあたって私の書いた巻頭言を一部加筆して掲載してみましょう。
 「時代の流れでしょう、最近各臨床学会がそれぞれに疾病のガイドラインを発行し、その内容は疾病の治療から予防へとシフトしてきています。基準となる検査値の値は低く設定され、グレイゾーンが設けられて疾病傾向の警告を早めに発令する仕掛けになってきました。健診を行っていても、この5年間にメタボリックシンドロームという言葉が浸透し、実際には議論のあるその基準値は別として、腹囲に一喜一憂するクライアントが増えてきていることを実感しています。バイオマーカー数値もガイドラインの中では上に述べた一次予防としての設定が行われて来ている昨今において、未病とは従来の一次予防とどう異なるのか、各種検査項目の未病数値設定に、日本未病システム学会としての独自性、特異性がはたして可能なのかどうか。真剣な議論を重ねなければならない時期が来ていると思われます。
 一方で、今回の開催形態でもある、いわゆる相乗りの意義は何でしょうか。医師部会、看護部会、薬剤部会、臨床検査部会、栄養部会、東洋医学部会、歯科部会、メンタルヘルス部会の各部会から構成される未病システム学会だからこそなしうる、これはどちらかと言うと未病啓発、教育、実践の方法論、すなわち未病のメソドロジーさらにエビデンスとして、どのようにしてデータを回収し分析するのかを検討していく貴重な場としなければなりません。簡略化してものを考えると、一次予防あるいは健康増進の未病が上手く作動したとして、結果は健康寿命が延びる? 健康寿命が伸びてどうなる? その先に来るものは? その根拠として未病医学がそして早期介入がどう寄与したのか?そんなエビデンスがはたして取れるのかどうか。それは結論の出ない自己満足ではないですかとシニカルな評価を受けて、未病は見果てぬ夢で終わるのか。
 否! クライアントも未病関係者もこの自己満足でいいのではないかとさえ思うのです。特に一次予防そして健康増進医学が持つ宿命ではないでしょうか。エビデンスのみの信奉は西洋医学的方法論であり、東洋医学の方法論と目的との融合もまたこれからの未病システム学会に課せられた課題の一つでしょう。自分はどう生きて来たのかそしてこれからどう生きるのかを実感するための寄り添う医療(Narrative Based Medicine)未病においては必須の方法論であり、それはとても個別的であり、ノイズに満ち満ちて、あいまいさが特徴だと思います。納得いく人生を送る、数値のみではなく、統合的な全人医療としての未病をしっかり見守り続けていかなければなりません。
 今回の近畿地方会、臨床検査部会、栄養部会の合同開催の各プレゼンテーションの中にこのヒントが見つかればいいなと思っています。」
http://mibyou-kinki.kenkyuukai.jp/special/?id=6520
 地方会の最後では指導(支援)方法に関してのロールプレイイングもあり、役者がそろい、意義深い合同開催になりました。
 未病の検査は集団を基本とした基準値を個人に当てはめる(演繹)のではなく、個体内の経年変化(個体内変動)を基準値として捉え、そこからの偏位をクライアントの生活の中に帰納していく方法論かと考え始めています。神戸常磐大学への上り坂、良い汗が掻けたと思います。

 暑い夏をきりりと氷温にまで冷やしたビール、引き続き日本酒、そして〆は焼酎又はグラッパ等のロックの毎日が続いています。夏バテ無し。実はこれが危ないのかな~~? かもしれません。

 皆様も分相応のたしなみの中で、盛夏乗り切りましょう!

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