調べてみると、今の時代の流れに応じた、新しい補助単位の覚え方が出来ているのだそうです。テラから始まりピコで終わります。 “てきめがけ、ヘクト出かけたメートルが弟子に見られてせんちミリミリ参ったな、ピコピコ” さて、N95に話を戻しましょう。N95とは米国労働安全衛生研究所 NIOSH(National Institute of Occupational Safety and Health)が定めた基準で、粒子の捕捉効率を表しています。テストの詳細は割愛して、Nは耐油性無しの記号、そして0.1~0.3μmの微粒子を95%以上除去できる性能を有する製品という事になります。この基準は最低捕捉基準でさらに99、100(%)という基準もあります。サージカルマスクというのは、装着者の体液が空気中へ飛散するのを防ぐのが目的であるのに対し、N95は装着者が空気中の粒子を吸入するのを防ぐ目的を持つ製品の最低性能基準となります。さてここで、粒子の大きさが問題となります。どこまでの大きさの粒子吸入が最低限95%の保証を持って防げるのか、上表を改めてごらんください。μm(マイクロメーター)が見つかりましたか、10-6下段左から4番目です。試験粒子サイズは0.1~0.3とありますから100~300nanom(ナノメーター)粒子を95%トラップできるという事になります。 さて次は有害粒子サイズを考えてみましょう。
大きな花粉は、埃として落下する運命にあり,またサージカルマスクでもある程度トラップされますが、花粉の周辺に付着している小粒子(ユービッシュ体、オービクル)にはアレルゲンとなるたんぱく質が含まれており、これが花粉から剥離して空気中を漂よい、通常のサージカルマスクではトラップされないで上気道粘膜に侵入する結果となっています。このアレルゲン物質は今問題になっているPM2.5よりも小さい粒子サイズなのです。一般的にPM(Particulate Matter) 微小粒子状物質のサイズでは肺の奥深くまで吸入され、喘息等アレルギーあるいは慢性に吸入され続けるとCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の一因にもなる可能性があるでしょう。さて、ウイルスに目を移してみます。インフルエンザウイルスについてみてみると、2009年当時新型と言われたH1N1pdm(パンデミック)流行期に枯渇したN95マスクとウイルスサイズが微妙な位置にあることがお分かりになるでしょう。完璧に予防できるものではないことが当時にも言われていました。マスク着用の一番の問題点は凹凸ある顔面への密着性であることは自明の理。形状を合わせる機能無しではマスクの効果は半減いえそれ以下となる可能性があります。そして、昨年から今年特に流行したノロ、サポウイルスは、命名される前にはSRSV、小型球形ウイルスと言われていたごとく、インフルエンザウイルスの三分の一の大きさしかありません。感染経路は複数あって、食中毒として食材からの経口摂取、糞便・体液等処理不備による接触(経口)感染、そして吐物(体液)乾燥に依る浮遊ウイルスからの感染が小児、高齢者で特に集団生活を余儀なくされる施設内での多発事例の原因となっています。N95が持つ定義上の性能を上回る小ウイルスであることがお分かりになると思います。N95マスクが全く無為ではありませんが、体液処理現場での適切な薬剤使用と着衣扱いがいかに重要かが分かります。
櫻の芽が少し膨らみはじめています。藤もしっかりと尖った芽を見せ始めました。春近しの期待を持って、花粉症は十分な予防対策と、治療(抗ヒスタミン剤、鼻づまりには抗ロイコトリエン剤)を続けてください。健診現場では気象による交感神経の緊張が続いているのか、血圧が高めにシフトしています。塩分過剰摂取に留意して冬を元気で過ごして行きましょう。
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